生活保護について 受給できる条件は人それぞれだが、資産があっても申請できることをご存じだろうか

保護申請にかかるたった2つの条件

1 収入が生活保護の基準より少ないか、全くない 

2 貯金等の活用できる資産がほとんどない 

以上の2つの条件をクリアすれば、生活保護を必ず受けることができる。 

なぜならばこの2つの条件を満す人はもれなく「生活困窮者」であるからだ。 

生活保護の担当者が申請を受け付け、保護を開始するまでに「保護の要否判定」という作業を行うが

以下の手順で保護の要否判定を行う。

〇定期的な収入が無い人の場合 

1 現在の手持ち金や預貯金、活用できる資産の額が世帯の生活基準よりも少ない場合

  ↓

  生活保護受給要 

2 逆に手持ち金等の活用できる資産が世帯の基準よりも多い場合 

  ↓

  生活保護受給否となる。 

〇定期的な収入がある人(現に働いている人の場合) 

1 過去3カ月の収入の平均

<世帯の生活基準 かつ 現在の手持ち金や預貯金、活用できる資産がほとんどない状態の場合

  ↓

  生活保護受給要 となる。

以上のように生活保護を申請するには2つの条件を満たすだけで申請が可能ということになり、この2つの条件を満たしていてなお、面接の際に追い返される場合は、役所側の水際作戦が適用されたと思ってよい。


役所の水際作戦とは

申請しても追い返されるケースも少なくない。

生活に困窮している人が申請に訪れた際にはまず、受け付けなくてはならない。

窓口で追い返される人のほとんどは担当者に以下のように言われる。

1 親族が近くにいるのなら親族に養ってもらいなさい。  

2 君はまだ若いんだからまずはハローワークに行きなさい。  

3 病気も何もないんだから生活保護はダメだよ。  

4 車も家もあるんだから何とか生活できるでしょ。 


1 親族が近くにいるのなら親族に養ってもらいなさい。 

1 の、親族からの扶養は義務ではありません。

2 の、君はまだ若いんだからまずはハローワークに行きなさい。といって追い返すことは違法なのだ。

困窮している人が申請に訪れた際、まずは申請を受け付けるべきなのだ。生活保護を受けたうえで、ケースワーカーが就労指導を行うというのが正当な流れといえる。  

3 病気も何もないんだから生活保護はダメだよ。

生活保護は病気があっても無くても申請することができる。これも違法だ。

4 車も家もあるんだから何とか生活できるでしょ。

車や家があると生活保護を受けられないのかというとそういうわけではない。

ただし、場合によっては生活保護が開始となってから車や家を処分しなければならない場合があるので要注意。

本来は生活保護を受けられるはずの人が、役所の違法な水際作戦によって申請すらできない違法な状態にあるのが現状だ。 


その場所(地域)で暮らすための最低限の生活費に収入が届かない人に対して、収入との差額を補助する制度

そもそも「生活保護」とは、厚生労働省が地域ごとに細かく指定している。

その場所で暮らすための最低限の生活費に収入が届かない人に対して、収入との差額を補助する制度である。  

年金収入があっても、この「最低生活費」に満たなければ受給することができ、無年金などで収入がゼロの場合には、最低生活費の額を全額受給できることになっている。  

生活保護を受けることで以下のような優遇措置がある。

〇生活保護費の受給

〇医療費の支給

〇賃貸住宅の更新料の支給

〇住民税や所得税、年金保険料、国民健康保険料の免除

〇NHK視聴料金の免除

〇水道料金の基本料金免除(これは都市部の一部地域に限られている)

※都民ならば、都電・都営地下鉄・都営バスの共通無料パスももらえる。


生活保護についてまわるネガティブな印象

生活保護のネガティブな印象には以下のものが該当していると言える。

1 生活保護の申請が親族にばれる 

2 借金ができなくなる 

3 貯金ができなくなる 

4 車が持てなくなる  

実際には、生活保護の受給世帯約163万5000世帯のうち、半数を超える50・8%は65歳以上の人を中心とする高齢者世帯。

そのうち9割は単身世帯となっているのが現状である。(厚生労働省統計)

つまり高齢になるまで働き続け、配偶者が亡くなるまでは頑張って生活してきたが、ようよう一人になり困り果てて自治体に助けを請うたという訳だ。

「働けるのにサボっている」のではなく、これまで長年、働いてきたが、20年、30年と長い老後を生き抜かなければならない人々が頼りにする制度と言っていいだろう。 


老後を迎えていざという時、どうしたらいいのか。

問われるのが、次の4つ。

1 『援助してくれる身内がいないか』

2 『資産を持っていないか』

3 『働けないか』

4 『月の収入が最低生活費を下回っているか』

1 の『身内』とは法律で扶養義務のある、3親等以内の親族をいう。

同居している親族に収入がある場合は、同じ家計として扱われるので、まず申請は通らない。

別居していて、その人を扶養したくない、没交渉だというような親族の場合、かつては『借金があるので扶養できません』と言えば、あまり調べられることもなく、申請が通っていた。

しかし、平成26年の法改正以降は『具体的にどんな借金があるのか』と問われるようになった。

2 の『資産がないか』とは預貯金や株、有価証券、金や宝石、不動産、自動車などをいう。

自動車に関しては以下の条件に該当すれば所有できる。

1 山間僻地に住んでいて公共交通機関が全く整備されていない場合 

2 事業用として車を利用しなければ、その事業が廃業となる場合  

3 身体障害等により、車が無ければ日常生活に支障が出る場合  

不動産に関しては、自宅に住宅ローンが残っていると認められない。

ローンがなく、自ら居住している不動産がある場合には、売却しても価値のないいわゆる資産価値のない自宅などの場合、その持ち家に住むことが許される。

3の『働けないか』とは、20代、30代ならいざ知らず、65歳を超えた人については問われないのが普通。  

4の『最低生活費以下の収入しかないか』とは

地域ごとに細かく決められており、大都市と地方では生活費に差があるため、それを反映している。


夫婦とも国民年金を満額もらってもなお、生活保護を受け取ることができる場合もあるということだ。

本来、生活保護の申請と受給は月単位でできる。

普段は27万円ある収入が、ある月だけ10万円で最低生活費を下回ったとなれば、差額分の生活保護費をもらうことができる。  

仕事を持っている人でも、国が目安を定めた最低生活費を下回る収入しかなければ、セーフティーネットの恩恵にあずかれる。

年金をもらっていても、収入があっても、条件さえ満たせば月単位で受け取ることが出来るのだ。

本当に生活に困って、誰も頼る人がなく、明日食べるものにも困り果て、この先、生きていくのがつらい人は遠慮せず、地域の福祉窓口を訪ね、生活保護を申請しよう。

がむしゃらに働き、納税の義務も果たしたが、気がつけば年老いて、体がいうことをきかず、働きたくても働けないのだから。

国民は平等なのだから。



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