2030年 家族がなくなる日がやってくる 未婚率だけではない離婚率の先に見える日本の憂い
40代男性の生涯未婚率が97%を超えた今、未来に目を凝らすと家族の形態を成さない「おひとりさま」ばかりの日本社会が浮かび上がってきた。
未婚率だけでなく、離婚率の高さが「おひとりさま」増加に拍車を掛けている。
では、なぜ離婚するのか。
離婚理由の一番は男女共に性格の不一致である。
また年代別に見ても性格の不一致、価値観の違いが挙げられる。
男女の違いをみてみよう。
〇女性の離婚理由
1位 性格が合わない 19,380人(40%)
2位 生活費を渡さない 13,551人(28%)
3位 精神的に虐待する 12,282人(26%)
4位 暴力を振るう 10,882人(23%)
5位 異性関係 8,643人(18%)
6位 浪費する 5,420人(11%)
7位 家族を捨てて省みない 4,316人(9%)
8位 家族親族と折り合いが悪い 3,655人(8%)
9位 性的不協和 3,653人(8%)
10位 酒を飲みすぎる 3,069人(6%)
〇男性の離婚理由
1位 性格が合わない 10,900人(61%)
2位 精神的に虐待する 3,322人(19%)
3位 家族親族と折り合いが悪い 2,656人(15%)
4位 異性関係 2,637人(15%)
5位 性的不協和 2,326人(13%)
6位 浪費する 2,209人(12%)
7位 同居に応じない 1,764人(10%)
8位 暴力を振るう 1,505人(8%)
9位 家族を捨てて省みない 1,127人(6%)
10位 病気 913人(5%)
双方、似かよった理由であるが、女性が金銭面に関する理由が若干多いのと、男性は家族親族に関する理由に加えて同居の問題もあげている。
夫婦円満の秘訣と問われてあなたは何と答える?
夫婦円満の秘訣と言えるのかどうか定かではないが、夫婦関係が冷めていく理由の一つはコミュニケーション不足がある。
このコミュニケーション不足には、相手への思いやり不足やスキンシップ不足も含まれる。
日本人はこのコミュニケーションが苦手とみえて、夫婦間を始めとして親子間にもママ友間にも、PTA間にも、会社間においても、もろもろの人間関係において不足していると言われている。
家族崩壊が始まった
妻子と別れ、友人もいない、孤独な男性が一人だけで生き抜くには、日本社会は過酷すぎるのではなかろうか。
大手電機メーカーを中心に、経営不振によるリストラの嵐が吹き荒れている。
〈パナソニック 通期で7650億円の赤字見通し リストラ拡大で年度中に1万人規模の人員削減〉
〈シャープ 過去最悪の赤字決算見通し 62年ぶりの人員削減5000人〉
〈NEC 2000人の早期退職募集〉
経営不振を理由にリストラ・早期退職を迫られるサラリーマンが増えている。
今年度に上場企業が募集した希望・早期退職者の数は、すでに昨年度の倍を超えているのだ。
また、各企業が自衛のために、正社員から非正規へと雇用を切り替えている。
その余波で起きていることが「家族の崩壊」である。
既に日本では、バブルが崩壊した'90年以降に「家族崩壊」が始まっていたのだが、生涯未婚率や離婚の急増により、'70年以降生まれの世代は、経済的に安定した「標準家庭」を維持できない人が増加しているという。
一人暮らしの男性が急増している
結婚しないまま中年を迎え、一人暮らしをしている男性が急増してる。
50代、60代の男性の単身世帯数の推移を見ると、4~5倍に増加している。
このままいけば2030年に50代、60代男性のおおむね4人に1人が一人暮らしとなる公算が大きい。
単身世帯が増えているのには、理由がある。
●非正規雇用で収入が不安定なため、結婚できない
●パラサイトシングルで、親の収入にすがって生きているので自立できない
●大黒柱である父親が失職したことによって、家庭が崩壊する
いずれのケースにも共通するのは、経済基盤の弱さである。
例えば男性Aの場合
リストラの槍玉に挙げられクビを切られるまでは、ごく平凡なサラリーマン家庭だった。
35歳のときに郊外に5000万円で自宅を買い、通勤には時間がかかったが特に不自由は感じなかった。
結婚し、子供をもうけた。
妻は長男の出産を機に会社を辞めた。
満足いく結婚生活を送っていた。
それがリストラ退職によって暗転した。
再就職はうまくいかず、生活はなんとかなると思っていたが、妻は将来の不安を理由に、離婚を迫ってきた。
何度話し合いを重ねても、妻の気持ちは変わらず、結局離婚が成立。
マンションから追い出され、資産も根こそぎ持っていかれた。
いまは都内のワンルームアパートで一人暮らしを送っている。
派遣労働で生活は苦しく、1日1食、牛丼で済ませる日もある。
会社員時代の知人はクモの子を散らすように離れていったから、心を許して話せる相手もいない。
まさか自分が50歳を超えて、こんな生活に陥るとは夢にも思っていなかった。
「離婚大国」になっている日本は、いずれ3組に1組が離婚する
生涯未婚率(=50歳の時点で未婚の人の割合)の推移は、20年前は「約20人に1人」、10年前は「約10人に1人」と増え続け、直近では「約5人に1人」となっており、さらに2030年には「約3人に1人」に達する勢いだという。
未婚の中高年男性が増えている理由の一つに、女性が経済力の向上があげられる。
男性に頼らなくても一人で生きていけることが大きい。
逆に言えば今まで男性の経済力に頼り生きていきていくしかない女性が多かったのだ。
生活苦にあえぐ妻が夫の経済力に見切りをつけて出て行くケースは今後も増えるであろう。
そして、生涯一度も結婚せず、未婚のまま老後を迎えるという人も増えてくるのだ。
東京都の平均世帯人員は最新の統計でついに2人を切って、1・99人となった。
不況の煽りを受けて家族を養える男性が激減。
結果として、日本から家族が消えてなくなり、みんな一人暮らしになりつつあるのだ。
日本はいったいどんな国になってしまうのか
社会的に孤立する高齢者の急増
高齢者単身世帯のうち、家族と過ごす時間を一切持たない人は8割強、家族以外の人と過ごす時間を一切持たない人も最低5割程度はいる。(政府統計)
中高年の一人暮らしは、いざと言うときのリスクが高い。万が一、重い病気になったり、要介護状態になったとき、同居する家族や近くに住む家族に頼れるが、そうでない場合は悲惨だ。
中高年の「自殺」も増える。
全国の自殺者数のうち、60歳以上が約1万2000人と全体の3割強を占めている統計がある。
その要因には、健康問題が高齢者の自殺の大きな要因になっていることがよくわかる。
熟年離婚した場合、より一層社会的孤立感が高まる傾向にあり、誰も助けてくれない。
貧困も深刻化する。
一人暮らしになる高齢者はもともと非正規労働者など収入が不安定だったり、低収入だったりするケースが多い。
こうした人たちがひとたび病気になれば、職を失い、一気に「生活保護受給者」へ転落してしまう。
一人暮らし世帯の〝転落リスク〟は非常に高いといえる。
都内のあちこちの公園などで、炊き出しが行われる風景が当たり前になってくるかもしれない。
社会保障制度の崩壊を現実に受け入れ政府の甘い言葉に騙されない
何より大きな問題は、日本の「社会保障」が崩壊する日がすぐそこに来ているという現実。
たとえば、高齢者の介護はいままで家族が支えてきたが、未婚高齢者が増えればそれができなくなり、介護にかかる財政負担が膨れ上がることは目に見えている。
さらに単身高齢者の生活保護受給者が増え、財政を圧迫する。
家族が消えるということは、いままで家族が支えていたものを国が肩代わりしなければいけないということ。
家族が崩壊し、一人暮らしばかりが増えれば、日本経済全体の失速も始まるだろう。
日本人は子供にかける教育費が大きいが、単身者が増えると大きく削られる。
塾産業も多くが消えてなくなるだろう。
そもそも、日本の高度成長を支えたのは、理想の家族を追い求めたお父さんたちの頑張りだった。
いい家に住まわせてやりたい、いい家具を揃えてやりたい、いい車に乗せてやりたい、いい場所に旅行に連れて行ってやりたい。
家族がいたからこそ、お父さんたちは仕事に汗を流し、お母さんはそれを支えた。
しかし、そんな時代はもう来ない。
これからは一人で、自分のために生きるのが精一杯な人があふれる社会になる。
〇もう結婚はあきらめたが、孤独死は怖い。カネを貯めて、施設に入りたい」(60代派遣社員)
〇肉体労働でいつ身体を壊すか心配だ。要介護になったら誰も助けてくれない(50代サービス業)
街から家族の笑い声が消え、代わりに一人暮らしの苦痛の声が響く。
日本はいま、そんな国に大きく変わろうとしている。
毎年1兆円ずつ社会保障費が増えていく日本では、とてもじゃないが財政が持たないのは明らかだ。
絆の時代と言われるが、ほんとうだろうか。
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